「これら」の言い換えとして、すぐに使える代表的な表現は「こちら」「上記の件」「前述の点」「以上の項目」の4つです。
メールや資料を書いていて「これらについてご検討ください」と打ち込んだものの、少し突き放したように感じたり、指している内容が曖昧ではないかと手が止まる。そんな経験は誰にでもあるはずです。文脈や相手に合わせて言葉を整えることで、文章の分かりやすさや丁寧さは大きく変わります。
この記事では、「これら」の言い換え候補から、ビジネスで注意すべき理由、レポートやメールでの使い分け、そのまま使える例文まで詳しく解説します。
「これら」の言い換え表現を一覧で紹介
まずは、考え込まずにすぐ使える言い換え候補から見ていきましょう。
まず使える言い換え候補
「これら」を別の言葉に置き換えたいとき、以下の言葉を知っていれば大半の場面をカバーできます。
- こちら(単数・複数問わず、ビジネスで最も汎用的に使える丁寧な表現)
- 上記の件・以上の点(直前に箇条書きなどで挙げた複数の項目を指すとき)
- 前述の点(文章の少し前で触れた複数の事柄を指すとき)
- これら〇点・これらの課題(数を明記したり名詞を補ったりして具体化するとき)
- 皆様・あの方々(対象が「人」である場合に使用する表現)
ニュアンス別の言い換え早見表
それぞれの表現が持つ温度感や適した場面を一覧にしました。
| 言い換え候補 | ニュアンス・適した場面 |
|---|---|
| こちら | 丁寧・汎用的。「これらの資料」を「こちらの資料」とするなど、相手に敬意を示す場面。 |
| 上記・右記 | 客観的。メールや文書で、上に記した複数の項目をまとめて指し示す場面。 |
| 前述・上述 | 硬く論理的。レポートや論文などで、すでに論じた内容を指す場面。 |
| 以上の項目 | 区切りを示す。複数挙げた条件や理由をまとめ、次の話題へ移る場面。 |
| 皆様・該当の方々 | 配慮を伴う。複数の「人」を指す際に、失礼にならないよう言い換える場面。 |
「これら」の意味とビジネスで注意すべき理由
そもそも「これら」とはどんな役割を持った言葉なのか、なぜ言い換えが必要になることが多いのかを確認します。
複数の物事を指し示す指示代名詞
「これら」は、自分の近くにある複数の事物や、文章の中ですでに述べた複数の事柄を指し示す「指示代名詞」です。「これ」の複数形として使われます。
「これら」は曖昧さを生みやすい言葉
ビジネスや論文で「これら」を使う際に注意すべき理由は、読み手にとって「どれとどれを指しているのか」が曖昧になりやすいからです。
「これらについて確認しました」と書かれていても、読み手は「3つの課題すべてか、直近の2つだけか」と迷うことがあります。誤解を防ぐためには、指示語をそのまま使わず、具体的な言葉に言い換えることが重要です。
「これら」のシーン別言い換えと例文
ここからは、読者のあなたが実際に直面しやすい場面ごとに、自然な言い換えと例文を紹介します。
ビジネスメールや上司へ丁寧に伝える場面
ビジネスシーンでは、「これら」という言葉は少し雑な印象を与えることがあります。丁寧な「こちら」や「上記」に変換するとプロらしい文面になります。
- 「こちらの3点につきまして、ご検討いただけますでしょうか」
- 「上記の件につきまして、承知いたしました」
- 「これらのご指摘を踏まえ、資料を修正いたします」
レポートや論文などの硬い文章
主観を排し、論理を組み立てるレポートや論文では、「これら」をより硬い漢語表現に置き換えることで文章が引き締まります。
- 「上述の課題を解決するためには、新たなアプローチが必要である」
- 「前述した3つのデータは、本研究の仮説を裏付けるものである」
- 「以上の項目から、現在のシステムには限界があると言える」
指示語を避けて具体的に伝える場面
「これら」に頼らず、何を指しているのかを具体的に明記する言い換えは、相手の理解スピードを格段に上げます。
- 「これら2つのプランから、最適なものをお選びください」
- 「今回ご提案した施策について、ご意見をお聞かせください」
- 「先ほど挙げたリスクへの対応策をご報告します」
「これら」に近い言葉とのニュアンスの違い
似ているようで、実は少しずつ役割が違う言葉があります。迷ったときの選び方を整理しました。
「これ」との違いと使い分け
「これ」は単数を指し、「これら」は複数を指します。
複数の事物を提示した後に「これを確認してください」と言うと、相手は「どれか1つだけ見ればいいのかな」と誤認する可能性があります。複数を指す場合は「これら」とするか、「こちらの全て」のように全体を指す言葉を選びましょう。
「上記」「前述」との比較
「これら」は話し言葉でも書き言葉でも使えますが、「上記」や「前述」は書き言葉に特化した表現です。
目の前にある複数の資料を指して「上記の資料ですが」と言うのは不自然です。対面やWeb会議の口頭では「こちらの資料」、メールやチャットでは「上記の資料」と使い分けるのが正解です。
「これら」の言い換えを選ぶポイントと注意点
言い換えで失敗しないための実践的なポイントです。
人を指す場合は「方々」「皆様」を選ぶ
ビジネスにおいて、複数の人を指して「これらのお客様」や「これらの担当者」と言うのは非常に失礼に当たります。
人を「物」のように扱っている印象を与えるためです。必ず「こちらの皆様」「該当される方々」「関係者の皆様」と言い換えましょう。
不自然になりやすいNGな使い回し
「これらの複数の課題」という表現は、二重表現になりがちで不自然です。
「これら」自体に複数という意味が含まれているため、「複数」を重ねる必要はありません。「これらの課題」とするか、「複数の課題」のどちらかに絞るのが正しい日本語です。
「これら」の言い換えに関するよくある質問
言い換えに関して、よく迷いがちな疑問にお答えします。
「これら」を敬語や丁寧な表現で言い換えるには?
「これら」自体に敬意はないため、ビジネスシーンでは「こちら」と言い換えるのが最も自然です。「これらの資料」は「こちらの資料」、「これらの件」は「こちらの件」とすると、丁寧で柔らかい印象になります。上に箇条書きで書いた内容であれば「上記の件」「以上の点」とするのも適切です。
「これら」は話し言葉ですか?書き言葉ですか?
「これら」は話し言葉(口語)と書き言葉(文語)のどちらでも使える汎用性の高い言葉です。ただし、論文などの硬い書き言葉では「上述の」「前述の」、ビジネスメールでは「上記の」「こちらの」といった言葉に言い換える方が、より洗練された印象を与えます。
論文で「これら」の多用を避けるべき理由は?
指示語である「これら」を多用すると、読者が「どれとどれを指しているのか」を都度前に戻って確認しなければならず、文章の論理性が低下するためです。「これら3点の特徴」「上述した要因」など、名詞や数を補って具体化することが推奨されます。
「これら」は人に対して使ってもいいですか?
ビジネスや公式な場において、人に対して「これら」を使うのは失礼に当たるためNGです。「これらの方々」「こちらの皆様」「該当される皆様」と言い換えるのがマナーです。
「これら」の類語にはどのようなものがありますか?
「これら」の類語には、「これ」「彼ら(人を指す場合)」「上記の」「前述の」「以上の」「こちらの」などがあります。指し示す対象が人か物か、単数か複数かによって適切な言葉を選びます。
「これら」の言い換えまとめ
「これら」の言い換えは、指し示す対象が何であるかを明確にし、相手に誤解を与えないように具体化することが重要です。
- ビジネスメールで丁寧に伝えるなら「こちら」「上記の件」
- 論文やレポートで硬く表現するなら「前述の」「以上の点」
- 人に対して使う場合は「皆様」「該当の方々」
- 曖昧さを防ぐなら「これら〇つの点」と数を補う
言葉の選び方ひとつで、文章の論理性やあなたへの信頼感は驚くほど変わります。文脈にぴたりとはまる言葉を選び取って、あなたの思いをまっすぐに届けてください。