「それに伴い」の言い換えで迷わない!状況別の使い分け

「これを受けて」「あわせて」「同時に」「それに付随して」などが、「それに伴い」の代表的な言い換え候補です。

ある事象が起こり、それに関連して別の事象が起こることを示す便利な言葉ですが、前後の文脈や相手との関係性によって、最適な表現は変わります。

この記事では、具体的な言い換え候補やニュアンスの違い、場面別の使い分け、そのまま使える実践的な例文までを詳しく解説します。

記事で分かる言い換えの要点 内容
ビジネス向け候補 これを受けて、あわせて、これに付随して、これを機に
レポート向け候補 これに連動して、これに呼応して、これに伴って
日常会話向け候補 それと一緒に、それにあわせて、その影響で、その結果
選び方のコツ 前後の文が「同時発生」か「原因と結果」かで言葉を変える

「それに伴い」の言い換え表現を一覧で紹介

文章や会話をスムーズにつなぐための言い換え候補を、一覧で整理しました。

まず使える言い換え候補

状況を選ばず、すぐに代用しやすい代表的な言葉をいくつか挙げてみます。

  • これを受けて
  • あわせて
  • 同時に
  • これに付随して
  • これを機に
  • これを踏まえ
  • それに伴って

これらの言葉を頭の片隅に置いておくだけで、文章作成時の選択肢が大きく広がります。

ニュアンス別の言い換え早見表

前後の文章がどのような関係性を持っているかによって、しっくりくる言葉は変わります。表現したいニュアンスごとに、ふさわしい言葉を見ていきましょう。

ニュアンス 言い換え候補 特徴と適した場面
同時進行・並行 あわせて、同時に、それと一緒に 2つの物事が同じタイミングで進むことを強調したい場面
付随・付属 これに付随して、これに関連して メインの事象があり、おまけとして別の事象がくっついてくる場面
きっかけ・契機 これを機に、これを契機に ある出来事がターニングポイントとなり、新しいアクションを起こす場面
受容・対応 これを受けて、これを踏まえ 相手の行動や社会の変化などを受け止め、それに対する行動を示す場面
客観的連動 これに連動して、これに呼応して データや事実関係など、事象同士が結びついて変化する様子を示す場面

「それに伴い」の言い換えを選ぶポイント

言い換え候補を知った後は、どれを選ぶのが適切かを見極める必要があります。選ぶ際の基準となる2つのポイントを解説します。

前後の文脈が「同時進行」か「因果関係」かを見極める

接続表現を選ぶ際、もっとも重要なのは前後の文の論理関係を正確に捉えることです。

例えば、「システムをアップデートします。それに伴い、パスワードの再設定をお願いします」という文。これはシステムの変更という事実があり、その「結果」として再設定が必要になるという因果関係を含んでいます。この場合は、「これを受けて」や「これを踏まえ」と言い換えると自然です。

一方で、「本社を移転します。それに伴い、電話番号も変更になります」という文はどうでしょう。移転と番号変更は、因果関係というよりも、同時に発生する並行した事象です。この場合は、「あわせて」や「同時に」を選ぶと、すっきりと意味が通ります。

前後の文が「原因と結果」で結ばれているのか、それとも「同時に起こる事象」を並べているだけなのか。この違いを意識するだけで、言葉の選択は劇的に上達します。

相手との距離感やフォーマル度合いに合わせる

言葉の硬さも重要な選択基準です。

取引先の役員へ宛てたメールと、同じ部署の同僚とのチャットでは、当然選ぶべき言葉が変わってきます。

  1. 社外の目上の方へ:「これに付随いたしまして」「これを踏まえまして」など、丁寧な響きを持つ言葉を選ぶ。
  2. 社内の公式な通達:「これを受けて」「同時に」など、簡潔で誤解を生まない言葉を選ぶ。
  3. 親しい同僚とのやり取り:「あわせて」「それと一緒に」など、堅苦しすぎない言葉を選ぶ。

文脈の論理性に加えて、読み手が受ける印象まで想像できれば、完璧な言い換えが可能です。

「それに伴い」の意味とニュアンス

そもそも「それに伴い」という言葉がどのような成り立ちと役割を持っているのかを深掘りします。本質を理解することで、より精度の高い言い換えができるようになります。

「それに伴い」が持つ基本的な意味

「伴う(ともなう)」という動詞には、大きく分けて2つの意味があります。1つは「一緒に連れて行くこと」、もう1つは「ある事柄に応じて、別の事柄が一緒に起きること」です。

接続表現としての「それに伴い」は、後者の意味合いを強く持ちます。つまり、先行する事象Aが存在し、事象Aが引き金となったり、事象Aと切り離せない形で事象Bが発生する、という状況を説明する言葉です。

単なる「そして」という並列表現よりも結びつきが強く、「だから」という直接的な原因表現よりも少し広い範囲の関連性を示す、非常に便利なバランスを持った言葉と言えます。

言い換えるときに残すべき「つながり」の印象

便利な言葉である反面、使いすぎると文章が単調になりがちです。言い換える際には、元の言葉が持っていた「事象同士の密接なつながり」という印象を損なわないよう注意しましょう。

例えば「それに伴い」を単に「そして」と言い換えてしまうと、事象同士の関連性が薄れ、ただ出来事を順番に並べただけの幼稚な文章に見えてしまうことがあります。

事象Aと事象Bがどう関係しているのか。その「接着剤」の役割を正しく引き継げる言葉を選ぶことが、元のニュアンスを残す秘訣です。

「それに伴い」のシーン別の具体的な言い換え例

ここからは、私たちが直面するさまざまな状況に合わせて、最適な言い換え表現と具体的な使い方を見ていきましょう。

社外向けのビジネスメールや案内状

社外のお客様や取引先へ向けて案内を出す際は、礼儀正しさと内容の正確さが求められます。会社の体制変更や、サービスの仕様変更を伝える場面を想定してみます。

  • 「弊社では来月より新システムを導入いたします。これに付随いたしまして、ご請求書のフォーマットが一部変更となります。」
  • 「来春、大阪支社を開設する運びとなりました。これを機に、西日本エリアの皆様へより一層迅速なサポートを提供してまいります。」
  • 「昨今の原材料費高騰の波を受け、価格改定を実施いたします。これを受けまして、現行価格でのご注文受付は今月末までとさせていただきます。」

単なる事実の羅列ではなく、前後のつながりを丁寧に説明することで、相手に誠実な印象を与えられます。

社内向けの通達やチャットツール

社内での連絡は、正確性に加えてスピードと簡潔さが重視されます。冗長な言い回しは避け、要点がパッと目に入る表現が好まれます。

  • 「来週月曜日にオフィスのネットワーク工事を実施します。あわせて、各自のPCの設定変更をお願いします。」
  • 「全社的なリモートワーク推奨方針が発表されました。これを踏まえ、当部署でも週3日の在宅勤務を原則とします。」
  • 「明日の会議はオンライン開催に変更となりました。同時に、開始時間も14時に後ろ倒しとなりますのでご注意ください。」

文字によるコミュニケーションが増えた現代では、長々とした説明よりも、短い言葉でテンポ良くつなぐほうが、情報伝達がスムーズにいきます。

レポートや論文での客観的な表現

大学のレポートや研究論文、あるいは客観的な事実を報告するビジネス文書では、感情や主観を排した硬質な表現が必要になります。

  • 「高齢化社会の進展が顕著である。これに連動して、医療費の国家負担額も増加の一途を辿っている。」
  • 「政府による新しい環境規制が施行された。これに呼応して、多くの企業が再生可能エネルギーへの投資を加速させている。」
  • 「夏季の記録的な猛暑により、農作物の収穫量が激減した。それに伴って、生鮮食品の消費者物価指数が上昇している。」

「これに連動して」や「これに呼応して」といった表現は、複数のデータや事象が互いに影響し合いながら推移している様子を、極めて論理的かつ客観的に描写できます。

日常会話でのやわらかい表現

親しい相手との会話やカジュアルなメッセージで「それに伴い」を使うと、少し大げさで堅苦しい印象を与えてしまいます。日常のトーンに合わせて、やわらかい言葉に変換しましょう。

  • 「来月から部署の異動になったんだよね。それにあわせて、引っ越しもすることにしたよ。」
  • 「最近、ジムに通い始めたんだ。その影響で、朝も早く起きられるようになってきたかな。」
  • 「明日は雨の予報が出ているね。それと一緒に、気温もかなり下がるみたいだから気をつけてね。」

話し言葉では、「あわせて」「影響で」「一緒に」といった平易な和語をベースにすると、自然な会話のキャッチボールが成立します。

「それに伴い」の言い換え例文比較

適切な言葉を選べたとしても、文全体の構成に違和感があれば意図は伝わりません。OK例とNG例を比較しながら、文章全体のバランスの取り方を確認します。

自然に伝わる言い換えOK例

前後の論理が明確で、スッと頭に入ってくる文章の形を見てみましょう。

  • 営業時間変更のお知らせ:
    「弊店舗の営業時間を20時閉店に変更いたします。あわせて、ラストオーダーの時刻も19時半となりますことをご了承ください。」
  • 担当者変更の挨拶:
    「私こと、4月1日付で営業部へ異動することとなりました。これを受けまして、後任として鈴木が御社を担当させていただきます。」
  • イベント中止の案内:
    「台風の接近により、本日の野外ライブは中止と決定いたしました。これを踏まえ、チケットの払い戻し手続きについてご案内申し上げます。」

違和感を生むNG例と誤用の注意点

言葉の選び方を間違えたり、論理が破綻したりすると、読み手は混乱してしまいます。

【注意したいNG例1:因果関係がないのに因果関係の言葉を使う】
×「明日から出張で東京に行きます。これを踏まえ、お土産を買ってきます。」
出張に行くことと、お土産を買うことに深い因果関係や対策のニュアンスはありません。単に「ついでに」「あわせて」お土産を買うだけです。大げさな言葉を選ぶと、滑稽な印象を与えてしまいます。

【注意したいNG例2:接続表現の重複】
×「新入社員研修を実施します。また、これに付随して、懇親会も開催します。」
「また」と「これに付随して」という2つの接続表現が連続しており、文章のリズムが悪くなっています。「新入社員研修を実施します。これに付随して、懇親会も開催します」と、すっきりさせるべきです。

言葉を飾り立てようとするあまり、不自然な言い回しにならないよう、書き終えたら一度音読して確認する習慣をつけるとよいでしょう。

修正前(不自然な例) 修正後(自然な例)
資料を添付します。また、それに伴い、確認をお願いします。 資料を添付いたします。あわせて内容のご確認をお願いいたします。
担当者が退職します。それによって、引き継ぎを行います。 担当者が退職いたします。これを受けまして、後任への引き継ぎを実施しております。

「それに伴い」に近い接続表現との違い

文章を書いていると、「それに伴い」と似たような接続表現との使い分けに迷うことがあります。代表的な類語とのニュアンスの差を明確にしておきましょう。

「したがって」「そのため」とのニュアンス比較

「したがって」や「そのため」は、明確な原因と結果(因果関係)を示す言葉です。

「システムに不具合が発生した。そのため、サービスを一時停止する。」
この場合、不具合という原因があって、停止という結果が直接的に導き出されています。

一方、「それに伴い」は、因果関係を含む場合もありますが、もっと幅広く「付随して起こる事象」全体をカバーできます。
「システムをメンテナンスする。それに伴い、マニュアルも更新する。」
メンテナンスしたからといって、絶対にマニュアルを更新しなければならないという絶対的な因果関係があるわけではありませんが、関連する作業として一緒に発生している様子が伝わります。

「あわせて」「同時に」との使い分け

「あわせて」や「同時に」は、事象同士に主従関係(メインとサブの関係)があまりなく、フラットに並列している状態を示す言葉です。

「それに伴い」には、「事象Aが主体として存在し、事象Bがそれにくっついてくる」という、やや主従関係を感じさせるニュアンスがあります。
もし、2つの事象を対等な重要度で伝えたい場合は、「あわせて」や「同時に」を選ぶ方が、誤解なく情報が伝わります。

迷ったときの選び方と手順

文章を書いていて、どの接続表現を使うべきか手が止まったときは、次の手順で考えてみてください。

  1. 前後の文の事象を比較し、原因と結果の関係があるかを確認する。
  2. 因果関係が強いなら、「これを受けて」「これを踏まえ」を選ぶ。
  3. 2つの事象が対等で同時に進むなら、「あわせて」「同時に」を選ぶ。
  4. 主となる出来事のついでに発生するなら、「これに付随して」を選ぶ。
  5. 相手が目上なら「〜いたしまして」「〜まして」など丁寧な形に整える。

この思考プロセスを辿ることで、文脈から浮かない、的確な言葉選びができるようになります。

「それに伴い」の言い換えに関するよくある質問

ここでは、実際に文章を作成する際によく生じる疑問にお答えします。

「それに伴い」を一番短く自然に言い換えるなら何ですか?

ビジネスシーンで汎用性が高く、かつ短くすっきりしているのは「あわせて」です。「本社を移転します。あわせて、電話番号も変更となります」のように、並行して発生する事象を伝える際に、文字数を取らずに自然につなぐことができます。

「それに伴い」と「それにより」の違いは何ですか?

「それにより」は、原因や手段を明確に示す表現です(例:部品の軽量化に成功した。それにより燃費が向上した)。一方で「それに伴い」は、原因と結果という強い結びつきだけでなく、同時に発生する関連事象など、よりゆるやかな「付随関係」を示す際にも使われます。

目上の人に「それに伴い」を使っても失礼になりませんか?

「それに伴い」という言葉自体は敬語ではありませんが、目上の方に使っても決して失礼には当たりません。より丁寧に響かせたい場合は、「それに伴いまして」と「ます」を加えたり、「これに付随いたしまして」などの表現に置き換えることで、フォーマルな印象を高められます。

お詫びのメールで「それに伴い」と言い換えたい場合の適切な表現は?

お詫びの場面では、事態を真撃に受け止めている姿勢を示すことが重要です。そのため、「これを受けまして」や「この事態を重く受け止め」といった表現に言い換えることで、相手の心情に寄り添いながら、今後の対応策へスムーズにつなげることができます。

「それに伴いまして」という表現は正しいですか?

はい、文法的に正しい表現です。「それに伴い」に丁寧語の「ます」の連用形「まして」を接続した形です。顧客への案内文や、取引先へのメールなど、丁寧な文体を保ちたい場面で頻繁に使用されます。

履歴書や職務経歴書で「それに伴い」を使ってもよいですか?

問題なく使用できます。「部署の統廃合がありました。それに伴い、新規事業開発チームへ配属となりました」など、自身の経歴の変化を客観的に説明する際に役立ちます。「これを機に」と言い換えると、より前向きな行動のきっかけとしてアピールすることも可能です。

「それに伴い」の言い換えまとめ

「それに伴い」という言葉は、事象と事象のつながりを説明する便利な接着剤ですが、状況に合わせて的確な言葉に言い換えることで、文章の説得力は格段に上がります。

社外向けには「これに付随して」や「これを受けて」と丁寧に。社内向けには「あわせて」や「同時に」と簡潔に。事実関係を客観的に述べるなら「これに連動して」と論理的に。

前後の文章の論理関係と、読み手との距離感を意識して、最適な言葉をパズルのように当てはめてみてください。少しの工夫で、あなたの文章はもっと読みやすく、もっと伝わるものになるはずです。