すでに書いた内容を指し示す「上記の通り」を、別の言葉で伝えたい場面がありますね。
ビジネスシーンですぐに使える言い換え候補として、「これまで申し上げました通り」「先ほどご案内しました通り」「ご案内の通り」などが挙げられます。
同じ言葉を何度も繰り返すと、相手にそっけない印象を与えてしまうことがあります。
相手との距離感や伝える媒体に合わせて、少しだけ表現を調整するのがスムーズな対話のコツ。
この記事では、具体的な言い換え候補から、ニュアンスの違い、ビジネスメールで失敗しない選び方までを詳しく解説します。
「上記の通り」の言い換え表現を一覧で紹介
すでに伝えた情報を再度引き合いに出すとき、文脈に応じて適切な言葉を選ぶことが大切です。
まずは、明日からすぐに使える言い換えのバリエーションを紹介します。
まず使える言い換え候補
相手に失礼がなく、かつ意味が正確に伝わる表現をいくつかストックしておくと便利です。
状況を選ばず使いやすいのは、以下のような表現です。
- これまで申し上げました通り
- 先ほどご案内しました通り
- すでにお伝えしております通り
- ご案内の通り
- 前述の通り
- 先述いたしました通り
- お聞き及びの通り
- ご覧いただきました通り
ニュアンス別の言い換え早見表
言葉の硬さや、相手への敬意の度合いによって、適した表現は変わります。
ニュアンスや使用シーンごとに、おすすめの表現を整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 極めて丁寧(顧客・目上の人) | これまで申し上げました通り、すでにご案内の通り、お聞き及びかと存じますが |
| 標準的(社内外のビジネスメール) | お伝えしております通り、先述の通り、前述いたしました通り |
| 客観的(レポート・議事録) | 前述の通り、既述の通り、先に述べた通り |
| ややカジュアル(社内チャット) | 先ほどお伝えした通り、上で書いた通り、先ほどの件ですが |
「上記の通り」の言い換えを選ぶポイント
言葉を言い換えるときは、単に類語を当てはめるだけでは不十分です。
相手にどう受け取られるかを想像して選ぶ視点が欠かせません。
冷たい印象を与えないための配慮
事務的な表現は、時として相手を突き放しているように響きます。
「前に言いましたよね」というニュアンスを消すことが重要です。
「繰り返しになり恐縮ですが」「すでにお聞き及びかと存じますが」といったクッション言葉を添える。
これだけで、文章全体に血が通い、相手への配慮が伝わります。
相手との関係性(社内・社外・上司)に合わせる
誰に向けて書いている文章なのかを常に意識します。
取引先や目上の上司に対しては、「申し上げました通り」や「ご案内の通り」など、謙譲語や丁寧語を含んだ表現が適しています。
一方、気心の知れた同僚とのチャットで「これまで申し上げました通り」と書くと、よそよそしさを感じさせます。
その場合は「さっきも送った通り」くらい崩しても問題ない場面が多いはずです。
メールと口頭(会話・プレゼン)での使い分け
「上記」という言葉は、本来「上に記した(書いた)こと」を意味します。
そのため、口頭の会話やプレゼンテーションで「上記の通り」と発言するのは、厳密には不自然です。
話している最中であれば「先ほどお話しした通り」「スライドでお見せした通り」と表現します。
媒体の性質に合わせて、動作と一致する言葉を選んでください。
「上記の通り」の意味とニュアンス
日常的に使っている言葉も、意味を紐解くと使い方のヒントが見えてきます。
言葉の成り立ちと、読み手に与える印象のメカニズムを見ていきましょう。
「上記の通り」が持つ基本的な意味
「上記(じょうき)」は、文章の中でそれより前に書き記された事柄を指します。
「通り(とおり)」は、それと同じ状態であることを示します。
つまり、「前に書いた内容と同じです」という事実関係を簡潔に示すための表現です。
連絡事項や手続きの手順など、事実を淡々と伝える場面では非常に機能的な言葉です。
多用すると「突き放した印象」になる理由
機能的である反面、感情が一切含まれていないのがこの言葉の特徴です。
相手からの質問に対する返答として「上記の通りです」とだけ書くと、どうなるでしょうか。
「上に書いてあるんだから、ちゃんと読んでください」という非難のトーンを帯びてしまう危険があります。
文字だけのコミュニケーションでは、冷たさが実際よりも増幅して伝わることを忘れないようにします。
「上記の通り」のシーン別の言い換え例
実際に文章を作成する場面を想定して、具体的な言い換えパターンを見ていきます。
検索意図に沿った、3つの代表的なシーンを取り上げます。
上司や取引先宛てのビジネスメール
敬意を払い、かつ用件を正確に伝える必要がある場面です。
「すでにご案内の通り、明日の会議は10時開始に変更となりました」
「これまで申し上げました通り、本件の納期は来月末を想定しております」
このように、相手を主語にして「案内を受けている」状態とするか、自分を主語にして「申し上げた」状態とするかで形が変わります。
社内チャットやチーム内での連絡
スピードが重視され、堅苦しい表現が好まれない環境です。
「先ほどお伝えした通り、今日の定例はスキップでお願いします」
「上のメッセージにも書いた通り、資料のフォーマットが変わります」
チャットツールでは画面をスクロールして過去の発言を遡るため、「上のメッセージ」という物理的な位置を示す表現も自然に馴染みます。
レポートやビジネス文書(客観的な記述)
個人的な感情を挟まず、論理的な展開が求められる文書です。
「前述の通り、本プロジェクトの課題はリソース不足にある」
「先に述べた通り、第2四半期の売上は前年を上回る結果となった」
レポートや論文では、「私」や「あなた」といった主体を登場させず、事実に焦点を当てて表現します。
「上記の通り」の言い換え例文
言葉の選び方ひとつで、文章全体の温度感は大きく変わります。
そのまま実務で使えるOK例と、少し注意が必要なNG例を比較してみましょう。
自然に伝わるOK例
相手への配慮が感じられる、スマートな言い回しです。
「詳細につきましては、すでにご案内の通り、添付の資料をご確認ください」
「本件の背景に関しましては、これまで申し上げてきました通りです」
クッション言葉を挟むことで、文の響きが柔らかくなっています。
避けたいNG例
意味は通じますが、受け手によっては不快に感じる可能性がある表現です。
「ご質問の件ですが、上記の通りです」
「上で言った通り、変更は不可能です」
対話の拒絶と受け取られかねないため、丁寧な説明を心掛けた方が無難です。
言い換え前と言い換え後の比較
同じ内容でも、表現を変えることで印象がどう変化するかを整理しました。
| 言い換え前 | 言い換え後(ビジネス向け) |
|---|---|
| 上記の通り、予定を変更します。 | すでにご案内の通り、予定を変更いたします。 |
| 条件は上記の通りです。 | 詳細な条件につきましては、前述いたしました通りでございます。 |
| 上記の通り進めてください。 | 先ほどお伝えしました手順にて、進行をお願いいたします。 |
「上記の通り」に近い言葉との違い
似たような場面で使われる類語にも、それぞれ固有のニュアンスがあります。
細かな違いを知っておくと、より精度の高い文章が書けます。
「先述の通り」「前述の通り」とのニュアンス比較
「前述(ぜんじゅつ)」は、今書いている箇所よりも前に述べたことを広く指します。
「先述(せんじゅつ)」もほぼ同じ意味ですが、「先ほど述べた」という時間的な近さや、少し前に言及したというニュアンスを強調したいときに使われます。
どちらも「上記」より少し硬く、かしこまった印象を与えます。
「既報の通り」との違い
「既報(きほう)」は、すでに報告・報道されていることを意味します。
社内報やプレスリリース、ニュースレターなどで、以前に一度発表した情報を再度取り上げる際に使われます。
通常の1対1のメールやチャットで使うには、やや大げさな表現です。
「上記の通り」の言い換えに関するよくある質問
「上記の通り」は目上の人に使ってもよいですか?
文法的に間違いではありませんが、単体で使うと事務的で冷たい印象を与えがちです。目上の人には「これまで申し上げました通り」や「すでにご案内の通り」など、謙譲語や丁寧語を交えた表現に言い換えるのが適切です。
「上記の通り」をより柔らかく伝えるにはどうすればよいですか?
クッション言葉を活用します。「繰り返しになり恐縮ですが、先ほどお伝えした通り〜」「すでにお聞き及びかと存じますが〜」のように前置きをすることで、相手を配慮する姿勢が伝わり、表現が柔らかくなります。
口頭で「上記の通り」と言いたい場合はどう表現しますか?
「上記」は文字を前提とした言葉なので、口頭では不自然です。会話やスピーチでは「先ほどお話しした通り」「スライドでご説明しました通り」「前にお伝えした通り」など、話す動作に合わせた言葉を選びます。
「上記の通り」と「前述の通り」はどのように使い分けますか?
「上記の通り」は箇条書きや直前の段落など、物理的にすぐ上にある情報を指すのに便利です。「前述の通り」は、数ページ前や別の章など、文章内のより広い範囲で過去に述べたことを指す際によく使われます。レポートなどの硬い文書では「前述」が好まれます。
社内チャットで「上記の通り」を軽く伝える表現はありますか?
親しい同僚とのチャットなら「さっきもお伝えした通り」「上のメッセージの通り」「先ほどの件ですが」といった表現が自然です。過度に丁寧すぎると逆に壁を感じさせるため、チームの雰囲気に合わせて崩して構いません。
「上記の通り」の言い換えまとめ
すでに書いた情報を指し示す言葉は、コミュニケーションの効率を上げるために便利です。
しかし、効率だけを追い求めて「上記の通り」を多用すると、相手に冷たい印象を与えてしまうリスクが伴います。
「これまで申し上げました通り」や「すでにご案内の通り」など、相手を敬う言葉の引き出しを持っておく。
それだけで、あなたの書く文章はぐっと柔らかく、信頼されるものに変わります。
場面や相手との関係性に応じて、最適なつなぎ表現を選んでみてください。