「により」を言い換える!文章が自然になる表現と使い方

「により」の言い換えって悩ましいですよね。

原因や理由なら「〜を理由として」「〜が原因で」、手段なら「〜を用いて」「〜を通じて」、根拠なら「〜に基づいて」などが代表的な言い換え候補です。

文章を書いていると、つい「により」を多用してしまい、リズムが悪くなったり、少し硬すぎると感じたりすることがあります。

この記事では、文脈や相手に合わせた自然な類語と使い分け、そのまま使える例文を整理しました。

「により」の言い換え表現を一覧で紹介

「により」は複数の意味を持つ便利なつなぎ表現です。だからこそ、文脈に合わせて適切な言葉に置き換えることで、文章の解像度がぐっと上がります。まずは、すぐに使える言い換え候補を見ていきましょう。

意味・ニュアンス別の言い換え早見表

「により」が担っている役割ごとに、言い換え候補をまとめました。今のあなたが書いている文章に当てはめてみてください。

意味の分類 言い換え候補 ニュアンス・使い方
原因・理由 〜が原因で ネガティブな結果を招いた直接的な要因を示す。
原因・理由 〜を理由として 客観的で硬い表現。ビジネスや公的な文書に向く。
原因・理由 〜のおかげで ポジティブな結果をもたらした要因を示す。
原因・理由 〜のせいで 不満や被害など、ネガティブな感情を伴う理由。
原因・理由 〜ゆえに やや古風で文学的な響き。論理の必然性を強調する。
手段・方法 〜を用いて 道具やデータ、システムなどを使って何かを行う場合。
手段・方法 〜を使って 「用いて」より少しカジュアルで一般的な表現。
手段・方法 〜を通じて ある期間や媒体、人を媒介にして何かを行う場合。
根拠・基準 〜に基づいて 確固たるルールやデータ、方針を土台にしていることを示す。
根拠・基準 〜に従って 指示や規則、マニュアルなどに逆らわずに動く様子。
根拠・基準 〜を踏まえて 過去の事実や意見を考慮に入れた上で、次の行動に移る様子。

「により」の言い換えを選ぶポイント

「により」を別の言葉にする際は、その一文で何を伝えたいのかを正確に見極める必要があります。焦点の当て方で選ぶ言葉は変わります。

原因や理由を表す場合

何かが起きたきっかけを説明する文脈です。ここでは、その結果がポジティブなのかネガティブなのかで言葉を分けます。

売上が伸びたなら「プロモーションの成功のおかげで」。システム障害が起きたなら「サーバーの過負荷が原因で」。このように結果の良し悪しを言葉に乗せると、読み手の感情にスムーズに寄り添えます。

客観的な事実だけを淡々と述べたい場合は「〜を理由として」「〜を背景に」を選ぶと、感情を交えない論理的な文章になります。

手段や方法を表す場合

目標を達成するために何を使ったのかを示す文脈です。

目に見える道具やツールなら「新しいシステムを用いて」。人や期間が間に入るなら「代理店を通じて」。このように、直接触れるツールなのか、間接的なルートなのかで使い分けると自然です。

根拠や基準を表す場合

その判断や行動の「よりどころ」を示す文脈です。

法律や規則など、絶対的なルールがあるなら「社内規定に従って」。アンケート結果など、判断材料の一つとして考慮したなら「調査結果を踏まえて」。情報の重みによって言葉をスライドさせます。

「により」の意味とニュアンス

そもそも「により」がどのような役割を持っているのか、そして似た言葉とどう違うのかを整理しておきます。

「により」が持つ基本的な意味

「により」は、格助詞の「に」と動詞「よる(因る・拠る・依る)」の連用形が組み合わさった表現です。

出来事の「原因・理由」、目的を達成するための「手段・方法」、判断の「根拠・基準」、そして受け身の文における「動作の主体(〜によって作られた)」など、非常に広い範囲をカバーします。便利である反面、使いすぎると文章のピントがぼやける原因にもなります。

「によって」との違い

「により」と「によって」は、意味としては全く同じです。違いは文章の硬さにあります。

「により」は書き言葉としての性質が強く、公的な文書やニュース記事、論文などで好まれます。「によって」は書き言葉でも話し言葉でも使われ、少しやわらかい響きを持ちます。文末が名詞で終わる場合は「〜による〇〇」の形になります。

「により」のシーン別の言い換え例

誰に向けて書く文章なのかによって、ふさわしい言葉は変わります。場面ごとに適切な表現を見ていきましょう。

ビジネスメール・文書での言い換え

ビジネスの現場では、事実を正確に、かつ相手に失礼のないように伝える必要があります。

  • 「天候不良を理由として、本日のイベントは中止いたします」
  • 「貴社独自のネットワークを通じて、販路を拡大したいと考えております」
  • 「先日の会議での決定事項に基づき、進行いたします」

レポート・論文での言い換え

学術的な文章や客観的なレポートでは、主観を排除し、論理の筋道を明確にする言葉を選びます。

  • 「本実験の結果から、仮説は立証された」
  • 「先行研究のデータを用いて、再検証を行った」
  • 「アンケートの回答傾向を踏まえ、新たな課題を抽出した」

日常的なやわらかい言い換え

社内チャットや親しい人へのメッセージで「により」を使うと、よそよそしい印象を与えます。話し言葉に近い表現に崩します。

  • 「電車が遅れたせいで、少し遅刻します」
  • 「新しいアプリを使って、スケジュールを共有しましょう」
  • 「部長の指示どおりに、資料を修正しました」

「により」の言い換え例文

実際に文章の中でどう言い換えるのか、具体的なパターンと注意点を紹介します。

自然に伝わるOK例

文脈と目的にピタリとはまった言い換えは、文章の説得力を高めます。

  • 原因:「原材料費の高騰を背景に、価格改定を実施いたします」
  • 手段:「独自に開発したAI技術を用いて、業務の自動化を実現しました」
  • 根拠:「お客様からいただいたご意見を踏まえ、サービスを改善いたします」

避けたいNG例

意味の方向性がずれてしまうと、読者に違和感を与えます。

  • NG:「彼のアドバイスのせいで、プロジェクトは無事に成功した」
  • 解説:成功というポジティブな結果に対して「せいで」は不自然です。「おかげで」が適切です。
  • NG:「パソコンを通じて、資料を作成する」
  • 解説:パソコンは直接操作する道具なので「を通じて」より「を用いて」「を使って」が自然です。

言い換え前と言い換え後の比較

「により」を別の言葉に変えるだけで、文章の温度感や解像度がどう変わるかを見比べます。

言い換え前 言い換え後 効果
円安により、利益が減少した。 円安が原因で、利益が減少した。 マイナスの要因であることが明確になる。
SNSにより、情報を拡散する。 SNSを通じて、情報を拡散する。 媒体としての役割が強調される。
マニュアルにより、作業を進める。 マニュアルに沿って、作業を進める。 ルールから逸脱しない姿勢が伝わる。

「により」の言い換えに関するよくある質問

「により」の言い換えや使い方について、よくある疑問に答えます。

「これにより」の言い換えはどうすればいいですか?

文脈によりますが、順接の接続詞として使うなら「その結果」「そのため」「したがって」「このため」などに言い換えられます。直前の事実を受けて、次の展開を述べる際に便利です。

「〜の努力により」の自然な言い換えはありますか?

「〜の尽力のおかげで」「〜の多大なる貢献があってこそ」「〜が力を尽くしてくれた結果」などの表現が自然です。感謝や称賛の気持ちを乗せたい場合は、「おかげで」などのポジティブな言葉を添えると温かみが出ます。

履歴書や職務経歴書で「により」は使えますか?

はい、使えます。事実を客観的に伝えるのに適した表現です。ただし、「〇〇により、△△により、××した」のように一文の中で連続すると読みにくくなるため、「〇〇を導入した結果、△△を改善できた」のように動詞や別の接続表現を交えてリズムを作ると印象が良くなります。

「〜の都合により」をやわらかく言い換えるには?

「こちらの勝手で申し訳ありませんが」「やむを得ない事情があり」「スケジュールの折り合いがつかず」などに言い換えられます。「都合により」は少し突き放した印象を与えることがあるため、相手との関係性に応じてクッション言葉を添えるのが効果的です。

「により」を連続して使ってしまいます。回避方法は?

一文を短く切ることが一番の解決策です。「AによりBとなり、CによりDとなった」という文は、「Aが原因でBとなりました。その後、Cを用いてDを実現しました」のように、意味(原因と手段)を見極めて別の言葉を当てはめ、文を分割するとすっきりと読めます。

「により」の言い換えまとめ

「により」は、原因、手段、根拠など様々な意味を包み込める便利な言葉です。しかし、便利だからこそ、頼りすぎると文章のピントが甘くなります。

「これは理由を言っているのか、それとも手段を言っているのか」。少し立ち止まって意味を分解し、「〜が原因で」「〜を用いて」「〜に基づいて」など、的確な言葉を当てはめてみてください。

今回紹介した言い換えのバリエーションを手札に加えておけば、ビジネス文書もレポートも、よりクリアで説得力のある文章に仕上がるはずです。