「このように」の代表的な言い換え候補には、「以上のことから」「前述の通り」「したがって」「以上を踏まえて」などがあります。
前に述べた内容をまとめたり、図表を指し示したりする際に便利な言葉ですが、ビジネスメールやレポートで多用すると、少し稚拙な印象を与えたり、文章のリズムが単調になってしまったりすることがあります。
前後の文脈に合わせて、より論理的な言葉に置き換えたり、思い切って接続詞自体を削ったりするのが、説得力のある文章を作るコツです。
この記事では、「このように」の言い換え候補や、ニュアンスの違い、シーン別の使い分け、そのまま使える例文まで詳しく解説します。
文章の目的や相手に合わせて、最適なつなぎ言葉を選べるようになりましょう。
「このように」の言い換え表現を一覧で紹介
「このように」の言い換えには、前後の文章の関係性によって使い分けるべき複数の表現が存在します。まずは、すぐに使える代表的な言い換え候補を押さえておきましょう。
これまで述べてきた理由をまとめるのか、客観的な事実から結論を導くのかによって、選ぶ言葉が変わります。
まず使える言い換え候補
ビジネスシーンや文章執筆で「このように」の代わりに使える、代表的な言い換え候補をまとめました。文脈に合わせて自然なものを選んでください。
- 以上のことから
- 前述の通り(前述したように)
- したがって
- 以上を踏まえて
- こうした理由から
- 以上の通り
- 以上のように
- かかる次第で
- ゆえに
これらの言葉を適切に配置するだけで、文章の論理構成がぐっと明確になります。
ニュアンス別の言い換え早見表
それぞれの言い換え表現には、微妙なニュアンスの違いがあります。前後の文章がどのような関係性にあるかによって、適切な言葉を選びましょう。
| 言い換え候補 | ニュアンス・与える印象 | 適した場面 |
|---|---|---|
| 以上のことから | これまで述べてきた複数の事実や理由を総括し、客観的に結論へ導く表現。 | レポート、論文、企画書などで、根拠を並べた後に結論を述べるとき。 |
| 前述の通り | 前に書いた内容を繰り返すのを避け、簡潔に話を展開させる表現。 | すでに説明した条件や事実を前提として、次のアクションを促すとき。 |
| したがって | 前の事柄を当然の前提として、論理的な結論や判断を導き出す硬い表現。 | データや規則から、必然的な帰結を示すとき。 |
| 以上を踏まえて | これまでの議論や現状を土台として、新たな提案や行動へ移る表現。 | 会議のまとめや、現状分析から解決策の提示へつなぐとき。 |
| こうした理由から | なぜそう判断したのかという「原因」に焦点を当てて結論を示す表現。 | 自分の選択や提案の背景を、相手に納得してもらいたいとき。 |
| 以上の通り | 報告や説明が完了したことを示し、文章を締めくくる表現。 | 業務報告書やメールの末尾で、全体を総括するとき。 |
表を見るとわかるように、「以上のことから」は論理的なまとめに向いており、「以上を踏まえて」は次の行動を促すのに向いています。自分が何を伝えたいのかによって、言葉を慎重に選びましょう。
「このように」の言い換えを選ぶポイント
「このように」を言い換える際は、単に別の言葉に置き換えるだけでなく、文章全体の論理展開やフォーマル度を考慮することが重要です。適切な言葉を選ぶための3つのポイントを見ていきましょう。
結論をまとめるか、図表などを指し示すかで選ぶ
言い換え表現を選ぶ最大のポイントは、その言葉が「直前の論理のまとめ」なのか、「具体的な図表や状況の指示」なのかを見極めることです。
「このように」はこの両方の意味を持ってしまうため、文章が曖昧になりがちです。ここを明確に切り分けることで、読者の理解度は格段に上がります。
- 論理のまとめとして使う場合:これまで述べてきた理由から結論を導くなら、「以上のことから」「こうした理由から」を選びます。
- 次の行動へ移る前提として使う場合:これまでの話を土台にするなら、「以上を踏まえて」「前述の通り」を選びます。
- 図表や状況を指し示す場合:グラフや実際の状況を指すなら、「図が示す通り」「ご覧の通り」と言い換えると具体的になります。
何を受けて「この」と言っているのかを明確にすることが、説得力のある文章への第一歩です。
文章のフォーマル度(硬さ)に合わせる
相手との関係性や、メール・文書のフォーマル度に合わせて、言い換えの硬さを調整しましょう。
親しい同僚とのチャットや日常会話であれば「こんな感じで」「こういうわけで」など、話し言葉に近い表現でも問題ありません。
しかし、社外への公式なメールや企画書、大学のレポートなどでは、「前述の通り」「したがって」「以上のことから」など、より客観的で硬い表現を選ぶべきです。
文章全体のトーンと接続詞の硬さがちぐはぐになると、読者に違和感を与えてしまうため注意が必要です。
接続詞自体を削れないか検討する
文章を洗練させるための強力な手法として、「このように」を別の言葉に言い換えるのではなく、接続詞そのものを削るという選択肢があります。
人間の書く自然な文章では、文脈の順序だけで論理が伝わる場合、過剰な接続詞はノイズになります。「〇〇である。このように、△△と言える」という文章は、接続詞がなくても意味が通じることが多いのです。
たとえば、「売上が低迷している。競合も増えた。このように、現状は厳しい」という文章は、「売上が低迷し、競合も増えているため、現状は厳しい」と一文にまとめることができます。
接続詞を足す前に、まずは削れないか、あるいは前の文と結合できないかを考える癖をつけましょう。
「このように」の意味と多用を避けるべき理由
そもそも「このように」とはどのような意味を持ち、なぜビジネスシーンや論文でそのまま使うことが避けられる傾向にあるのでしょうか。本来の役割と注意点を確認しておきましょう。
「このように」が持つ本来の意味
「このように」は、指示代名詞の「これ(この)」に、様態や比喩を表す助動詞「ようだ」の連用形「ように」がくっついた言葉です。
1つ目の役割は、状態や方法の指示です。「このように操作してください」のように、目の前のやり方やありさまを直接指し示します。
2つ目の役割は、前述の内容のまとめです。いくつか理由や状況を並べた後に、「このように、我々のプロジェクトは成功した」のように、それらをひっくるめて結論へ導くつなぎ言葉として使われます。
多用すると稚拙な印象を与えやすい理由
「このように」は話し言葉として非常に便利な言葉ですが、ビジネス文書や論文で多用するのは避けた方が無難です。
理由は、指示語である「この」が指す範囲が曖昧になりやすいからです。直前の一文を指しているのか、それとも前の段落全体を指しているのか、読者が迷ってしまうことがあります。
また、「このように〇〇だ」という文型は、小学校の作文などでよく使われる基本的な型であるため、大人が多用すると語彙力が乏しく、論理展開が単調に見えてしまいます。
読者を説得するためにも、「以上のことから」「前述の通り」など、指し示す範囲や関係性が明確な言葉に言い換える配慮が求められます。
「このように」のシーン別言い換え例
ここでは、実際のビジネスシーンや文章執筆でよくある状況ごとに、「このように」をどう言い換えればよいか、具体的な例文を交えて解説します。
ビジネスメールや企画書で内容をまとめる場面
現状の課題や、これまでの経緯を説明した後に、結論や提案を述べる場面では、客観性を担保する表現が適しています。
「以上を踏まえて」や「こうした理由から」を使い、事実関係から論理的に提案へつなげます。
- 【以上を踏まえて】
競合他社が新プランを発表し、市場の価格競争は激化しています。以上を踏まえて、弊社でもキャンペーンの前倒しを提案いたします。 - 【こうした理由から】
現行のシステムでは処理速度に限界が見え始めており、セキュリティ面の懸念も残ります。こうした理由から、来期より新しいサーバーへの移行が必要です。
「以上を踏まえて」は、単なるまとめではなく、「だからこう行動する」という意思決定の土台を示す際に非常に有効です。
レポートや論文で結論を導く場面
レポートや論文など、高い論理性が求められる文章では、前提から結論を導き出す硬い表現を選びます。
「したがって」や「以上のことから」を使うと、文章全体が引き締まり、学術的なトーンになります。
- 【したがって】
本調査のデータから、両者の間には強い相関関係があることが確認された。したがって、事前の仮説は概ね支持されたと言える。 - 【以上のことから】
Aの数値は前年比で20%増加し、Bの数値は横ばいで推移している。以上のことから、施策Aが全体の成長を牽引していることがわかる。
これらの接続詞は、強い主張を伴う結論の前に置かれることが多いため、直前の根拠が十分に示されているかを確認してから使用しましょう。
プレゼンや会議で図表・状況を示す場面
プレゼンテーションでスライドのグラフを指し示したり、共有している資料を参照したりする場面では、視覚的な情報へ誘導する表現が適しています。
「ご覧の通り」や「図が示すように」を使い、聞き手の視線をスムーズに誘導します。
- 【ご覧の通り】
お手元の資料の3ページをご覧ください。ご覧の通り、昨年度の売上は第3四半期から急激に伸びています。 - 【図が示すように】
スクリーンに表示している図が示すように、ターゲット層の年齢分布には明確な偏りが生じています。 - 【前述の通り】
前述の通り、このプロセスには3つの承認ステップが必要となります。
「このように」と指を差すよりも、何を見ればいいのかを具体的に言葉にする方が、聞き手にとって親切でプロフェッショナルな印象を与えます。
「このように」の言い換え例文と前後の比較
言い換え表現の効果を実感するために、自然に伝わるOK例と、不適切なNG例、そして言い換え前後の比較を確認してみましょう。
自然に伝わるOK例
論理のつながりが明確で、ビジネス文書としてそのまま使えるOK例文です。
- 現行の法律ではこのケースをカバーしきれていません。したがって、新たなガイドラインの策定が急務です。
- ユーザーからの問い合わせ件数が急増しています。こうした背景から、サポート体制の強化を決定いたしました。
- 以上の通り、本件に関する調査結果をご報告申し上げます。
接続詞が明確な役割を持っているため、読み手は次にどのような情報が来るかを正確に予測できます。
避けたいNG例
間違った使い方や、論理が飛躍して違和感を与えてしまうNG例文です。
- NG:昨日は残業で帰りが遅くなりました。このように、今朝は寝坊してしまいました。(因果関係をまとめるには大げさで、言い訳がましく聞こえる)
- NG:商品の売れ行きが好調です。このように、私のおかげです。(客観的な論理展開ではなく、主観的な主張にまとめる言葉を使うのは不自然)
- NG:システムが停止しました。以上を踏まえて、復旧作業を行いました。(「以上を踏まえて」は熟考した後の提案などに使う言葉。単なる事実の連続には「そこで」が適切)
つなぎ言葉は論理の接着剤です。前後の文章の意味が接着剤の性質と合っていないと、文章全体が破綻してしまいます。
言い換え前と言い換え後の比較
「このように」を使った文章と、適切に言い換えた文章を比較してみましょう。受ける印象の違いがよくわかります。
| 場面 | 言い換え前(少し稚拙) | 言い換え後(ビジネス適切) |
|---|---|---|
| 提案の背景説明 | アクセス数が減っています。コンバージョンも落ちています。このように、サイトの改善が必要です。 | アクセス数が減少し、コンバージョンも低下しています。以上のことから、サイトの改善が必要です。 |
| 手順の指示 | ここのボタンを押して、次にパスワードを入れます。このように操作してください。 | ボタンを押した後、パスワードを入力します。以上の手順で操作を進めてください。 |
| メールの結び | このように、明日の会議は中止となりました。よろしくお願いします。 | 以上の通り、明日の会議は中止となりました。何卒よろしくお願いいたします。 |
言い換えることで、ただの出来事の羅列ではなく、「原因と結果」「事実と提案」というビジネスにおいて重要なフレームワークがはっきりと伝わるようになります。
「このように」に近い言葉との違い
「このように」の言い換えとしてよく使われる「したがって」や「以上を踏まえて」ですが、それぞれの持つニュアンスの違いを正確に理解して使い分けましょう。
「したがって」とのニュアンス比較
「このように」が緩やかなまとめにも使えるのに対し、「したがって」は、前の事柄を根拠として必然的に導かれる結論を示す、論理的強制力の強い言葉です。
| 言葉 | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|
| このように | 複数の事実や状況を総括し、緩やかに次の文へつなぐ。 | 雨が続き、気温も低い。このように、今年の夏は異常だ。 |
| したがって | 前の事柄を絶対の根拠として、必然的な帰結を客観的に示す。 | 法律により禁止されている。したがって、この計画は実行できない。 |
「したがって」は日常的な軽い報告に使うと大げさに聞こえるため、公式な文書や議論の場で明確な結論を提示するときに限定して使うのが効果的です。
「以上を踏まえて」とのニュアンス比較
「このように」が単なる結論の提示で終わることが多いのに対し、「以上を踏まえて」は、それまでの情報を土台にして「次にどう行動するか」という未来のアクションを導くニュアンスを持ちます。
| 言葉 | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|
| このように | これまでの話をまとめて結論づける。事柄の終着点。 | このように、A案の優位性が証明された。 |
| 以上を踏まえて | これまでの話を土台にして、新たな判断や提案へ移行する。 | 以上を踏まえて、A案の導入に向けたスケジュールを策定する。 |
現状分析から次のステップへ話を展開させたい時は、必ず「以上を踏まえて」を選びましょう。
迷ったときの選び方
どの言い換え表現を使えばいいか迷った時は、自分が読者に何を伝えたいかで判断するとシンプルです。
- 客観的な結論を出したい場合:「以上のことから」「したがって」
- 次の行動や提案へ移りたい場合:「以上を踏まえて」「こうした背景から」
- 説明を締めくくりたい場合:「以上の通り」
- そもそも接続詞は本当に必要か:削っても意味が通じるなら、思い切って削るか、文を統合して「〇〇であるため、」とします。
この手順で選べば、文章の意図がぼやけることを防げます。
「このように」の言い換えに関するよくある質問
「このように」は敬語として使えますか?
「このように」自体は指示詞と助動詞の組み合わせであり、敬語ではありません。目上の人や取引先へのメールで使う場合は、「以上の通りでございます」や「前述いたしましたように」など、より丁寧な言葉に言い換えるか、文末を丁寧な敬語表現に整える必要があります。
「このようにして」を丁寧に言い換えるには?
手順や方法を説明した後に「このようにして作ります」とまとめる場合は、「以上の手順で作成いたします」や「こうした方法で行います」と言い換えると、ビジネスシーンにふさわしい丁寧な表現になります。
履歴書や職務経歴書で「このように」は使っていいですか?
履歴書や職務経歴書などのフォーマルな書類では「このように」の多用は避け、「以上の経験から」や「こうした実績を踏まえ」に言い換えることをおすすめします。何を根拠にしているのかが具体的に伝わり、論理的思考力をアピールできます。
「このように」を多用してしまうのですが、どう直せばいいですか?
「このように」を多用してしまうのは、理由と結論を細かく文で分けすぎているサインです。一度文章を見直し、「Aである。Bである。このようにCだ」という構成を、「AおよびBであることから、Cと言えます」のように1つの文に結合できないか試してみてください。文章の無駄が省けてすっきりします。
図表を指して「このように」と言う時の硬い言い換えは?
プレゼンやレポートで図表を指す際は、「図1が示すように」や「表2から読み取れる通り」「ご覧の通り」と言い換えるのが一般的です。単に「このように」と言うよりも、読者や聞き手の視線を正確に誘導できます。
「このように」の言い換えまとめ
「このように」は、文脈によって「以上のことから」「したがって」「以上を踏まえて」「前述の通り」などに言い換えることで、文章の論理構成が明確になり、ビジネス文書としての説得力が格段に向上します。
言い換えを選ぶ際は、以下のポイントを意識してみてください。
- 結論を論理的に導く:以上のことから、したがって、ゆえに
- 次の提案や行動へ移る:以上を踏まえて、こうした理由から
- これまでの説明を締める:以上の通り、前述したように
- 図表を指し示す:図が示す通り、ご覧の通り
「このように」という言葉は日常会話では便利ですが、ビジネスや学術の場では指し示す範囲が曖昧になる原因にもなります。前後の文章の関係性を正確に捉え、適切な接続詞を選ぶことで、読者を迷わせないクリアな文章を書けるようになりましょう。