「そうすることで」を別の言葉に置き換えるなら、まずは「それにより」「そうすれば」「その結果」といった表現を試してみてください。
前の文で述べた行動を条件とし、次に起こるメリットや効果をつなぐこの言葉は、提案や説明の場面で非常に重宝します。ただ、指示語の「そう」を含んでいるため、多用すると文章が間延びし、幼稚で説明くさい印象を与えてしまうことも少なくありません。
伝えたいのが「客観的な事実」なのか、それとも「相手への前向きな提案」なのかによって、選ぶべきつなぎ言葉は変わります。
この記事では、状況や相手との関係性に合わせて最適な接続表現を迷わず選べるよう、豊富な言い換え候補とそのニュアンス、具体的な使い分けや例文を詳しく解説します。
「そうすることで」の言い換えに迷ったら、まずは「それにより」「そうすれば」「その結果」といった候補から選んでみてください。すでに起きた成果を報告するのか、これから起こるメリットを提案するのかを意識すると選びやすくなります。
| 言い換え候補 | おすすめの利用シーン |
|---|---|
| それにより・これにより | ビジネスメールや企画書で、ある行動がもたらす効果を客観的に伝えるとき |
| そうすれば | 相手に「こうしてください」と提案し、その後に続くメリットを強調するとき |
| その結果 | すでに行った行動によって、どのような成果が出たのかを過去形で報告するとき |
| 〜することによって | 「そう」という指示語をやめ、具体的な行動を直接示して説得力を高めるとき |
| そしたら・そうしたら | 親しい同僚とのチャットや日常会話で、テンポよく次の展開を話すとき |
「そうすることで」の言い換え表現を一覧で紹介
「そうすることで」の言い換えには、前後の文脈(特に時制)によって、いくつかの方向性があります。ここでは、すぐに使える代表的な言葉を整理して紹介します。
まず使える言い換え候補
日常やビジネスの場で、サッと使える便利な言い換え候補です。
文章のトーンを崩さずに、手段と目的を綺麗につなぐ言葉を選びました。
- それにより
- これにより
- そうすれば
- その結果
- 結果として
- 〜することによって
- 〜に伴い
- そうしたら(そしたら)
たとえば「新しいツールを導入します。そうすることで、作業時間が半分になります」と言いたい場合、「新しいツールを導入します。それにより、作業時間が半分になります」と置き換えるだけで、ビジネスにふさわしい客観的で引き締まった文章になります。
「そうすれば」は、相手にメリットを提示して行動を促すときに最も自然な表現です。
ニュアンス別の言い換え早見表
言葉の持つ微細なニュアンスや、フォーマルな度合いに合わせて適切な表現を選ぶための早見表を用意しました。
伝えたい意味合いに合わせて、最適な言葉を探してみてください。
| 伝えたいニュアンス | 適した言い換え表現 | 使用例 |
|---|---|---|
| 行動から生まれる効果を客観的に示す | それにより、これにより | 設定を変更しました。これによりエラーを防げます。 |
| 未来のメリットを提示し行動を促す | そうすれば、そのようにすれば | 早めに提出してください。そうすれば修正可能です。 |
| すでに起きた行動の成果を報告する | その結果、結果として | マニュアルを改訂した。その結果、ミスが減った。 |
| 指示語を避けて具体的に語る | 〜することによって、〜を通じて | 情報共有を徹底することによって、連携を深める。 |
| 日常会話で軽く次の展開を示す | そしたら、そうしたら | まずこれ片付けよう。そしたら次行けるから。 |
この表を参考にすれば、頭に浮かんだ「そうすることで」を、その場の空気に最も適した言葉へ瞬時に翻訳できるはずです。
「そうすることで」の言い換えを選ぶポイント
言い換え言葉を選ぶ際は、単に辞書的な意味をなぞるだけでは不十分です。自分の意図と、文章の時系列(過去か未来か)を軸に考える必要があります。ここでは、具体的な選び方のポイントを解説します。
「過去の報告」か「未来の提案」かを見極める
その表現を使って、すでに起きた成果を報告したいのか、これから起こるメリットを提案したいのかをはっきりさせます。
「そうすることで」は、「もし〇〇したら」という仮定のニュアンスを強く含むため、未来のメリットや提案を語るのに適しています。「このプランに切り替えてください。そうすることで経費が下がります」という具合です。この場合は「そうすれば」や「それにより」が自然にハマります。
一方で、過去の事実に対して「昨日システムを改修した。そうすることで売上が伸びた」と言うと、非常に不自然に響きます。すでに起きた事実の報告には、「その結果」や「結果として」といった確定した過去を受け止める言葉を選びます。
相手に行動を促す度合いで言葉を変える
相手にどう動いてほしいかによっても、言葉の選択は変わります。
営業の提案などで、「ぜひこうしてください!絶対に得ですから!」と強く背中を押したいなら、「そうすれば」が効果的です。話し手の熱量と「あなたへのメリット」が直接的に伝わります。
逆に、相手に決断を委ねつつ、冷静に選択肢の利点を並べたい場合は、「それにより」「これにより」を使います。感情を交えずに「Aという手段をとれば、Bという効果が発生する」という事実だけを淡々と提示できるため、ビジネスの公式な場ではこちらが好まれます。
接続詞を消して「1文」にまとめる(究極の言い換え)
実は、「そうすることで」という接続表現が連続して読みにくいとき、最高の解決策は別の接続詞を探すことではありません。2つの文を合体させて、接続詞そのものを消すことです。
「在庫管理を自動化します。そうすることで、発注漏れを防ぎます」
「在庫管理を自動化することで、発注漏れを防ぎます」
「そう」という曖昧な指示語を捨てて、具体的な行動(自動化する)に直接「ことで」をくっつける。これが最も論理的で、読み手の負担が少ないプロの文章の書き方です。文章が驚くほどスッキリし、説得力が増します。
「そうすることで」の意味とニュアンス
そもそも「そうすることで」とはどのような意味を持ち、どんな構造の言葉なのでしょうか。根本的な意味を理解することで、より的確な言い換えが可能になります。
「手段」と「効果」を結びつける構造
「そうすることで」は、指示代名詞の「そう」、動詞の「する」、形式名詞の「こと」、そして手段や方法を表す助詞の「で」が合わさった言葉です。
前の文で述べた行動をそっくりそのまま「そう」で受け、「その行動を手段として用いることによって」次の効果が生まれる、という関係性を示します。
つまり、「運動の習慣をつけてください。そうすることで痩せます」という文は、「運動の習慣をつける」という具体的な手段が、ダイレクトに「痩せる」という目的・効果を引き出すことを意味しています。
言い換えるときに消すべき「指示語の曖昧さ」
便利な反面、「そう」という指示語は、前の文が長かったり複雑だったりすると、「結局、何をすることによって効果が出るの?」と読者を迷わせる原因になります。
「〜を改善し、〜を見直し、〜を導入します。そうすることで〜」と続くと、焦点がぼやけます。
言い換える際は、この「指示語の曖昧さ」を消し去り、輪郭をくっきりとさせることが重要です。先述したように「新システムを導入することによって」と具体名に開くか、「それにより」と短くシャープな言葉でつなぎ直すことで、文章全体の解像度が上がります。
「そうすることで」のシーン別の言い換え例
言葉は生き物であり、使われる文脈によって表情を変えます。ここでは、具体的な3つのシーンに分けて、自然な言い換えの例を見ていきましょう。
ビジネスで提案やメリットを伝える場面
企画書や顧客への提案では、相手に「自分にとって得だ」と感じさせる説得力が求められます。
「そうすることで」を、より具体的で信頼感のある言葉に磨き上げます。
- クラウド型へ移行をご検討ください。それにより、初期費用を大幅に抑えられます。
- 現在のフローを一部変更いたします。これにより、確認の手間が省けます。
- まずは無料トライアルをお試しください。そうすれば、実際の使い勝手がお分かりいただけます。
このように、「それにより」や「そうすれば」と言葉を置き換えることで、読み手は行動に対するメリットをスムーズに受け取ることができます。
レポートや論文で手順や効果を述べる場面
アカデミックな文章や客観性が求められるレポートでは、感情や口語的な響きを排した冷静な記述が必要です。
「そうすることで」が持つ「相手に語りかけるトーン」を消し去り、因果関係を淡々と記します。
- A液を加熱し、不純物を蒸発させた。その結果、純度の高い結晶が得られた。
- フィルターの目を細かく設定する。それによって、微細な塵の混入を防ぐことができる。
- 当該パラメーターを調整することに伴い、全体の出力が安定する。
このように「その結果」「それによって」といった硬質な言葉を用いることで、文章の学術的・論理的な信頼性を担保できます。
日常会話や社内チャットでテンポよく伝える場面
友人や気心の知れた同僚とのカジュアルな会話では、堅苦しい接続詞を避け、口語として自然な表現に変換します。
ここでは「そうすることで」を使うと、理屈っぽく説教くさい印象を与えてしまうことがあります。
- ファイルは共有フォルダに入れといて。そうすれば皆いつでも見られるから。
- とりあえず再起動してみよう。そしたら直るかもしれないし。
- 事前にアポだけ取っておいたよ。その方が後で楽でしょ。
「そうすれば」「そしたら」「その方が」といった言葉を使った方が、相手との距離感がぐっと縮まり、スムーズなやり取りが生まれます。
「そうすることで」の言い換え例文
ここでは、実際にそのまま使えるOK例と、少し不自然になってしまうNG例を比較しながら紹介します。なぜその言い換えが良いのか、悪いのかの理由も合わせて確認してください。
自然に伝わるOK例
文脈にぴったりと合致し、読み手がスムーズに意味を理解できる優れた例文です。
- 毎朝10分のミーティングを実施します。それにより、チーム内の情報格差をなくします。
- もし迷ったら、一度深呼吸をしてください。そうすれば、冷静な判断ができるはずです。
- 古いデータを削除し、サーバー容量を確保した。その結果、処理速度が改善された。
これらの例文は、伝えたい内容(客観的な効果、相手へのアドバイス、過去の成果報告)に、最も適した接続表現を組み合わせられています。
避けたいNG例
文法的には間違っていなくても、状況に合わず不自然な印象を与えてしまう例文です。
- NG:(実績の報告で)先月は営業エリアを拡大しました。そうすることで、売上が20%伸びました。
- NG:(論文で)実験器具をアルコールで洗浄した。そうすれば、雑菌の繁殖を防げる。
- NG:(上司へのメールで)資料は先に送っておきますね。そしたら、事前に確認できると思うので。
過去の実績報告で「そうすることで」を使うと、時制がねじれて不自然です。「その結果」が適切です。
論文の「だ・である調」の中に、口語的な「そうすれば」が混ざるとトーンが崩れます。この場合は「これにより」や「それによって」を使うべきです。
上司へのメールで「そしたら」はカジュアルすぎて失礼にあたります。「そうしていただければ」や、そもそも接続詞を省いて「事前にご確認いただけるかと存じます」とするのが無難です。
言い換え前と言い換え後の比較
「そうすることで」を使った元の文章と、文脈に合わせて言い換えた文章を表で比較してみましょう。
言葉を変えるだけで、文章全体のトーンがどう変化するかを確認してください。
| 元の文章(そうすることで) | 言い換え後の文章 | 改善のポイント |
|---|---|---|
| プランを変更します。そうすることで、料金が安くなります。 | プランを変更いたします。それにより、月額料金を抑えることが可能です。 | ビジネス向けに「それにより」を使い、事実を客観的かつ丁寧に提示するトーンに格上げ。 |
| 早起きを始めました。そうすることで、体調が良くなりました。 | 早起きを始めた結果、体調が劇的に改善しました。 | 過去の事実に対して不自然な「そうすることで」をやめ、「〜した結果」と1文にまとめてスッキリさせた。 |
| マニュアルを読んでください。そうすることで、やり方が分かります。 | マニュアルをご一読ください。そうすれば、基本的な操作方法はご理解いただけます。 | 相手に行動を促す場面に合わせて「そうすれば」を使い、提案のニュアンスを自然に強調。 |
元の文章が持つ少し理屈っぽい響きが、言い換えによって具体的かつ場の空気に合ったプロフェッショナルな日本語へと変換されていることがわかります。
「そうすることで」に近い言葉との違い
言い換え候補として頻繁に登場する類語の中にも、細かなニュアンスの違いが存在します。ここでは、特に混同しやすい言葉の違いを整理します。
「それにより」と「そのため」のニュアンス比較
どちらも前後の文をつなぐ言葉ですが、焦点の当て方に明確な違いがあります。
「それにより」は、前の文を「原因・手段」とし、後ろの文で発生する「客観的な事実や効果」を伝える際に使われます。「システムを更新した。それにより、速度が向上した」のように、Aという手段がBという結果を自動的に引き出したニュアンスです。
一方「そのため」は、前の文を「理由」とし、後ろの文で話し手の「判断・意思・目的」を伝える際に重宝します。「明日は台風だ。そのため、イベントは中止にする」のように、Aという理由があるから、Bという行動をとる、という人間の意志が介在します。
手段の効果を示すなら「それにより」、理由に基づく判断を示すなら「そのため」を選ぶと、文章に論理的な筋が通ります。
迷ったときの選び方の手順
どの言葉に言い換えるべきか迷ったときは、以下の手順で思考を整理してみてください。
- 時制を確認する:これから起こる未来のメリットか、すでに起きた過去の事実かを特定する。
- 未来の場合:客観的な事実として伝えたいなら「それにより」、相手の背中を押して提案したいなら「そうすれば」を選ぶ。
- 過去の場合:過去の成果報告なら「その結果」を選ぶ。
- 文の構造を見直す:「〜することによって」「〜した結果」のように、接続詞を消して1文にまとめられないか検討する。
この手順を踏むことで、不自然な言い換えや、時制のねじれによる違和感を未然に防ぐことができます。
「そうすることで」の言い換えに関するよくある質問
ビジネスメールで一番無難な「そうすることで」の言い換えは?
最も汎用性が高く無難なのは「それにより」または「これにより」です。相手に押し付けがましい印象を与えず、ある手段をとることで得られるメリットや効果を客観的かつスマートに提示できます。
「そうすることで」をより丁寧に敬語で言うには?
「そのようにしていただければ」「そうしていただくことで」といった表現に言い換えます。相手に行動をお願いした直後に、「そのようにしていただければ、〇〇のメリットがございます」と続けると、大変丁寧で配慮の行き届いた表現になります。
レポートや論文で推奨される言い換え表現は?
客観的な論理展開が求められるレポートや論文では、「その結果」「それによって」「これに伴い」といった事実関係を淡々と示す言葉が適しています。「そうすることで」は話し言葉のニュアンスが強いため、学術的な文章では避けるのが無難です。
「そうすれば」と「そうすることで」の違いは何ですか?
「そうすれば」は「もしそうしたら」という仮定・条件のニュアンスが強く、相手に特定の行動を促す提案の場面でよく使われます。「そうすることで」は「その手段を用いることによって」と、方法と効果の因果関係を論理的に説明するニュアンスが強くなります。
「そうすることで」を使いすぎるとどうなりますか?
「これを導入します。そうすることで時間が減ります。さらにこれを見直します。そうすることでコストも下がります」と連発すると、文章のテンポが著しく悪くなり、非常に理屈っぽく稚拙な印象を与えます。「〜を導入して時間を減らし、さらに〜を見直すことでコストも削減します」と1文にまとめるのが大人の文章です。
「そうすることで」の言い換えまとめ
「そうすることで」は、ある手段を用いた結果として得られる効果やメリットを提示する、非常に便利な日本語です。
しかし、文脈や時制に合わせて適切なつなぎ言葉へと言い換えることで、文章の説得力はさらに上がり、読み手へ「メリット」を的確に届けることができます。
ビジネスで客観的に効果を示すなら「それにより」を。
相手に提案し、行動を促すなら「そうすれば」を。
過去の実績や成果を報告するなら「その結果」を。
この記事で紹介した時系列の使い分けや、あえて「接続詞を消して1文にする」という思考法を参考に、あなたの意図が最もまっすぐに伝わる言葉を探し当ててください。つなぎ表現の選択一つで、文章全体のスマートさと説得力は大きく変わります。