「それと」のビジネスシーンやレポートで使える自然な言い換えは、「併せて(あわせて)」「加えて」「さらに」「また」などが挙げられます。
日常会話で何気なく口にする「それと」ですが、ビジネスメールや目上の人への報告でそのまま使うと、少し幼稚でカジュアルすぎる印象を与えてしまいます。かといって、堅苦しい言葉ばかり並べても不自然です。
相手との関係性や、メールなのか口頭なのかといった状況によって、最適な表現は変わります。
この記事では、「それと」の言い換え候補を場面別・ニュアンス別に整理し、そのまま使える例文や、あえて接続詞を使わずにスマートに伝えるコツまで詳しく解説します。
「それと」の言い換え表現を一覧で紹介
「それと」の代わりとしてすぐに使える表現を、まずは一覧で確認しておきましょう。情報を付け加えるときの接続詞は、いくつかバリエーションを持っておくと文章が単調になりません。
3秒でわかる「それと」の言い換え早見表
相手や状況に合わせて、以下の候補から選ぶとスムーズです。
| 言い換え候補 | 適したシーンとニュアンス |
|---|---|
| 併せて(あわせて) | ビジネス全般で最も使いやすい。二つの事柄を同時に進行・提示するニュアンス。 |
| 加えて(くわえて) | 客観的な事実や情報を補足する際に適している。やや硬い表現。 |
| さらに | 前述の内容よりも、程度が進んだ情報や重要な情報を付け足す際に使う。 |
| また | 最も一般的で無難。前後の事柄を対等に並べる働きがある。 |
| および / ならびに | レポートや論文、公的な文書などで名詞同士を並列させる硬い表現。 |
| そのうえ | 「さらに」と似ているが、やや主観的な感情がこもる場合がある。 |
| それから | 「それと」よりも少し丁寧な話し言葉。口頭での報告などで使いやすい。 |
ビジネスですぐ使える言い換え候補
ビジネスメールや報告書では、情報を正確に、かつ礼儀正しく伝える必要があります。「それと」は口語表現のため、以下のような言葉に変換します。
- 併せて(あわせて):資料の送付と次回の案内など、複数の用件を同時に伝えるときに最適です。
- また:事柄を並列して述べる際の基本です。多用しすぎないよう注意が必要です。
- さらに:前の事柄にプラスアルファの価値や情報を乗せたいときに効果的です。
これらの言葉を使い分けることで、文章全体が引き締まり、社会人らしい洗練された印象になります。
レポートや論文で使える硬めの言い換え候補
大学のレポートやビジネスの企画書、論文など、客観性と論理性が求められる文章では、話し言葉のニュアンスを完全に排除します。
- 加えて:「〜という事実に加えて」など、論拠を補強する際に便利です。
- および / ならびに:「AおよびB」のように、事柄を並列して提示する際に使います。
- そのほか:列挙した事項以外のものを一括りにする際に用います。
これらの表現は、データや事実関係を論理的に積み上げる過程で、情報の関係性を明確にする働きを持っています。
「それと」の言い換えを選ぶポイント
ただ類語を知っているだけでは、適切な言い換えはできません。文脈に合わせて最適な言葉を選ぶための、3つの手順を紹介します。
- 相手との距離感(カジュアルかフォーマルか)を見極める
- 話し言葉(口語)か書き言葉(文語)かを意識する
- そもそも接続詞が必要かを見直す
相手との距離感で言葉を選ぶ
「明日の会議の資料です。それと、来週の予定も確認お願いします」。この言葉を聞いた上司は、少し砕けすぎていると感じるかもしれません。
もし相手が社内の親しい先輩なら、「それから、来週の予定も〜」と言い換えるだけで、少し丁寧な印象になります。
相手が取引先やあまり接点のない上司なら、「併せて、来週の予定につきましても〜」と、しっかりとしたビジネス表現を選ぶべきです。
話し言葉と書き言葉を使い分ける
「それと」は明確な話し言葉(口語)です。対面での会話や社内チャットでは許容されることもありますが、議事録や正式なメールなどの書き言葉(文語)に混ざると、違和感が生じます。
- 口頭・チャット向け:それから、あと、そのほかにも
- メール・文書向け:併せて、また、加えて、さらに
媒体に応じて、頭の中にある「それと」を適切なモードに変換する癖をつけましょう。
接続詞を削り、文脈だけでつなぐという選択
文章を洗練させるための重要なテクニックとして、「あえて接続詞を使わない」という方法があります。
「Aです。また、Bです。さらに、Cです。」と接続詞を連発すると、機械的で読みにくい文章になります。情報を追加するからといって、必ずしも「それと」や「また」を入れる必要はありません。
例えば、「見積書を添付いたします。併せて、カタログも送付いたします」は、「見積書とカタログを添付いたします」とまとめることができます。あるいは、単に「見積書を添付いたします。カタログも同封しておりますのでご確認ください」と、助詞の「も」を使うだけで、自然に文脈がつながります。
「それと」の意味とビジネスで避けるべき理由
なぜビジネスシーンにおいて、「それと」という言葉が嫌われるのでしょうか。その理由を紐解くことで、言い換えの精度がさらに上がります。
「それと」が持つ基本的な意味
「それと」は、指示代名詞の「それ」に、並立や添加を表す格助詞の「と」が結びついた言葉です。前に述べた事柄に、別の事柄を付け加えるときに用います。
日常会話では「りんごを買ってきて。それと、みかんもお願い」のように、思いついたことをパッと付け足す際に非常に便利な言葉です。
ビジネスシーンで稚拙に聞こえる理由
ビジネスの基本は、論理的で計画的なコミュニケーションです。「それと」という言葉には、「あ、そういえば」という思いつきで後から付け足したような、少し場当たり的な響きがあります。
「それと」を使われた側は、「準備不足だったのかな」「ついでに頼まれているのかな」と感じる可能性があります。結果として、計画性がない、あるいは相手への敬意に欠けるという印象を与えてしまうのです。だからこそ、「併せて」や「加えて」といった、あらかじめ用意されていた情報であることを示す言葉に言い換える必要があります。
「それと」のシーン別の言い換え例
実際のビジネス現場で直面しやすい3つの場面を取り上げ、どのように言い換えるのが自然かを見ていきましょう。
上司や取引先にメールで連絡する場面
複数の用件を1通のメールで伝える際、「それと」を使ってつなぐのは避けます。
「明日の会議の資料を添付いたします。併せて、先日の議事録も送付いたしますので、ご確認ください」。このように「併せて」を使うことで、2つの用件が同等の重要度で、計画的に送られていることが伝わります。
企画書や提案書で情報を追加する場面
企画書内で市場の動向などのデータを補足する際、「それと、この市場は〜」とは書きません。
「昨年度の売上は増加傾向にあります。加えて、新規顧客の獲得数も目標を上回りました」。客観的な事実を積み重ねる場合は、「加えて」や「さらに」が適しています。論理的な構成であることをアピールできます。
日常会話で少し丁寧に付け加える場面
職場の先輩との会話など、フォーマルすぎる言葉を使うと逆に不自然な場面もあります。
「会議室の予約、完了しました。それから、プロジェクターの準備も終わっています」。このように「それと」を「それから」にするだけで、丁寧さを保ちつつ、堅苦しすぎない自然なコミュニケーションになります。
「それと」の言い換え例文とNG例
実際に文章を作成する際の参考にできるよう、具体的な例文を比較してみましょう。
自然に伝わるOK例
- 修正した契約書を再送いたします。併せて、見積書の控えも同封しております。
- この機能により作業時間が短縮されます。さらに、ヒューマンエラーの削減にもつながります。
- 交通費の精算をお願いします。それから、先月の領収書も提出してください。
- アンケート結果は別紙の通りです。加えて、顧客からの直接の要望もまとめております。
信頼を損なう避けたいNG例
- 【NG】資料を添付します。それと、明日までに返信をお願いします。(やや稚拙で、後出しの印象を与える)
- 【NG】企画案Aを提案します。また、Bも提案します。さらに、Cも提案します。(接続詞が連続してくどい)
- 【NG】システムに障害が発生しました。それと、復旧の目処は立っていません。(重大な報告に不適切)
言い換え前と言い換え後の比較
どのような思考プロセスで言い換えるのか、比較表で確認します。
| 言い換え前(それと) | 言い換え後(ビジネス表現) | 言い換えの意図 |
|---|---|---|
| 書類を送ります。それと、確認をお願いします。 | 書類を送付いたします。併せて、内容のご確認をお願いいたします。 | 「それと」を削り、「併せて」に変換。動作を同時に依頼する形に整える。 |
| 売上が伸びました。それと、利益も増えました。 | 売上が伸び、利益も増加しました。 | 接続詞を完全に削り、一文にまとめることでスッキリと読みやすくする。 |
| Aさんを呼びます。それと、Bさんも呼びます。 | Aさん、およびBさんを招集します。 | 「および」を使って名詞を並列し、フォーマルな文書に適した表現にする。 |
「それと」に近い言葉との違いと使い分け
言い換え候補としてよく使われる言葉同士の、細かなニュアンスの違いを押さえておきましょう。
「それから」と「それと」のニュアンス比較
「それから」は「それと」と同じく、事柄を付け加える際に使われる言葉です。「それと」よりも少し丁寧で柔らかい響きがあるため、職場の日常会話や、ややカジュアルな打ち合わせなどで重宝します。
また、「それから」には「時間的な連続性」を表す働きもあります(例:ご飯を食べて、それから出かける)。単に並べるだけでなく、順序立てて説明する際にも適しています。
「あと」と「それと」のニュアンス比較
「あと、これもお願いします」のように使われる「あと」も、「それと」に近い言葉です。しかし、「あと」は「それと」以上にカジュアルで、くだけた話し言葉です。友人同士の会話などでは問題ありませんが、ビジネスシーンで目上の人に使うのは控えるべきです。
仕事で「あと」と言いそうになったら、一旦飲み込んで「それから」や「併せて」に変換するよう意識すると良いでしょう。
「それと」の言い換えに関するよくある質問
「それと」は敬語と一緒に使ってもいいですか?
避けるべきです。「それと」自体がくだけた話し言葉のため、「それと、ご確認をお願いいたします」のように丁寧な敬語と組み合わせると、文体のバランスが崩れて不自然になります。「併せて」や「また」に言い換えるのがマナーです。
「併せて」と「合わせて」はどちらが正しいですか?
「それと」の言い換えとして「同時に行う」「付け加える」という意味で使う場合は「併せて」が正解です。「合わせて」は、「力を合わせる」「ピントを合わせる」など、一つにまとめる・一致させるという意味で使われます。
論文で「それと」をどう表現すればいいですか?
論文やレポートでは「それと」や「あと」といった話し言葉は使用しません。代わりに「加えて」「さらに」「また」「および」といった、客観的な接続詞を用いて論理的に情報を追加します。
「それと」を使いすぎるとどうなりますか?
「それと、それと」と繰り返すと、話の構成がまとまっていない、行き当たりばったりで話しているという印象を与えます。箇条書きにして伝えるか、「併せて」や「加えて」などのバリエーションを持たせることで、知的な印象になります。
メールで「それと」の代わりに「追伸」を使ってもいいですか?
場合によります。「追伸」は、本題とは異なる軽い用件や、少し個人的なメッセージを付け加える際に適しています。本題に直接関係する重要な情報を追加する場合は、「追伸」ではなく、本文の中で「併せて」などを使って伝えるのが適切です。
「それと」の言い換えまとめ
日常的に使いがちな「それと」ですが、ビジネスシーンや公的な文章では、そのカジュアルさが計画性のなさや稚拙さを感じさせてしまうことがあります。言い換える際のポイントは以下の通りです。
- 最も無難で使いやすい:「併せて(あわせて)」「また」
- 客観的な情報を足す場合:「加えて」「さらに」
- 名詞を並べて硬く表現する場合:「および」「ならびに」
- 口頭で少し丁寧に言う場合:「それから」
言葉を言い換えることは、単に語彙を入れ替えるだけでなく、自分が伝えたい情報の関係性や重要度を整理し、相手に誤解なく届けるためのプロセスです。ぜひ、状況に応じた適切な言葉を選び、さらには「あえて接続詞を使わない」という選択肢も持ちながら、洗練されたコミュニケーションを築いてください。